少年はいつも山の向こうをのぞみながら旅立つ日を待っていた。やがて、目の前の山を登り、その先の山々を巡り歩き、数年がかりで外国を彷徨う。老いてからは心の最果てを探るべくカイラス巡礼をする。だが、夢見る山はいつも遠い。その先がある。だれもいない山で、だれかに「おーい」と呼びかける。あの山の向こうには何があるのだろうか。
1946年生れ。高校の頃より登山を始め、卒業と同時に秀峰登高会に入会。奥多摩のつづら岩での宙吊り事故を契機に単独行に移行する。1974年10月~1975年年7月に中央アジア、中東、西アジア、インド等を放浪する。 1977年5月~1980年10月に北米を皮切りに中南米、欧州、アフリカなど世界74国を放浪する。51歳から山旅登山を再開して現在に至る。著書に『山に入る日』(白山書房)、『夢想の峯々』(幻冬舎ルネッサンス)がある。埼玉県飯能市在住。
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